振袖の歴史 袖を振って思いを伝える
2023年12月11日
きもの蔵人みやもと 半田賢祐
長い袖を振って、思いを伝える
映画やドラマ、歌の歌詞でも恋愛物が人気ですが、
それは今に限った事ではなく、江戸時代や平安時代
の頃からも、みんな大好きな話題でした!
更に昔、奈良時代に書かれた「万葉集」にも恋愛話が
多くあり、今と変わらず当時もとても人気です。
その万葉集で知られる「額田王」(ぬかたのおおきみ)
の歌に、「袖を振る」という一文があります。
「あかねさす 紫野行き 標野行き
野守は見ずや 君が袖振る」
袖を振るという事が、アプローチ方法だったようです。
私の思いは届いた?
思い切って、女性にアプローチをしたとき、
袖の振り方でお返事がきます。
袖を左右に振ったら、「好き」の返事です。
しかし前後に振られたら「嫌い」の意味です。
不成立、まさに「振られた」となります。
人の心だけでなく、神事にも
長い袖の揺れは、人々を魅了するだけでなく、
神に仕える女性が長い袖を振ることで、
厄を払ったり、時には神を呼び寄せたりしたそうです。
これを「魂振」(たまふり)といいます。
振袖の長い袖だけでも、たくさんのいわれがあります。
色々な側面から振袖を見てみるのも楽しいです。