受け継がれる、大事なお振袖
2018年08月31日
相変わらず蝉の声が鳴り響いております。
まだまだ暑くて、今年も残暑が厳しそうですが、
ふと気がつくと、知らぬ間に秋の虫の声に
かわっていたりします。
そんな時、これで暑さも和らぐなとホッとする反面、
季節がわりの物悲しさも感じてしまいます。
常に流れている時間の中、時折、古き良き時代のまま、
時間が止まっているものに出会う事があります。
これも着物を扱う仕事柄だと思います。
先日、お祖母様がお召しになった
お振袖のお手入れをさせていただきました。
お店にお持ちいただき拝見したところ、
胴裏には今では珍しくなりました
「紅絹(もみ)」
の裏地が使われておりました。
紅絹とは、赤く染められた平絹の事で、
戦前は、女性の着物の裏地に
良く使われていたそうです。
赤には昔から魔除けの意味が込められております。
この赤を出すのに、まずウコンで黄に下染めしてから、
紅花で何度も重ね染めをして、赤く仕上げたそうです。
明治以降からは化学染料にかわっていったようです。
どちらにしても、大変貴重なお振袖です。
ただ、どうしても生地が弱ってきてしまい、
お手入れが難しくなってきますが、
是非大切になさって頂きたいと思います。
皆様もタンスの中に貴重なお着物がねむっていませんか。
是非お手入れをして、大事にして頂きたいと思います。
鎌倉 きもの蔵人みやもと 半田賢祐